インドネシア共和国は、17,000以上の島々からなる世界最大の島嶼国家です。 国土面積が約1億8,900万ha(日本の約5倍)。主な島は、カリマンタン島、スマトラ島、ニューギニア島、スラウェシ島、ジャワ島で、これら5島の合計面積が国土面積全体の約90%以上を占めています。約2億人の人口(世界第4位)を持ち、天然ガス、石油、金属、木材などの豊富な天然資源に恵まれています。 日本(東京)からインドネシアの首都であるジャカルタまで約6,000km、飛行機で約7 時間の距離にあります。インドネシアと日本は古くから様々な分野での交流が行われ、現在特に経済協力、貿易、投資の分野においてお互いに非常に重要なパートナーとなっています。
インドネシアの美しい熱帯雨林
インドネシアは、アジア地域で最も広大な熱帯林面積を誇り、価値の高い生物多様性が確認された世界でも有数の熱帯林保有国です。国連食料農業機関(FAO)の報告によると、1950年には国土面積の内、森林の総面積が約85%以上あったとされており、かつてはうっそうとした熱帯林に覆われ、多種多様な動植物の宝庫とされていました。しかしながら2005年時点の森林面積は国土面積の約45%以下にまで減少。その後もさらに多くの森林が減少し続けています。
遠い海外での問題と思いがちですが、インドネシアの森林問題は、私たちの生活とも密接に関係しています。 現在、日本国内で消費されている紙製品や木材製品の原材料の約80%が、インドネシアや中国、オーストラリア、アフリカ諸国など、海外の森林資源を使って製造されています。 国際的な木材需要の高まりを背景に、インドネシアにおいても、日本をはじめ世界各国に原木や合板、紙パルプなどの林産物の輸出を積極的に行っており、現在、インドネシアにおける木材輸出先の第1位が実は日本となっています。
インドネシア スマトラ島における違法伐採現場
また、インドネシアの天然林が減少している大きな要因のひとつに、「違法伐採」があげられます。違法伐採という言葉は、実は国際的に明確な定義が存在しないのですが、一般的に各国・地域の法令に違反して森林伐採を行うこと全般を指し、許可を受けていない土地での伐採や、適正な所有権・伐採権をもたない人々による伐採などがこれにあたります。
違法伐採は、木材生産国の経済面、環境面に大きなマイナス影響を及ぼすといわれています。2000年G8各国が合意した森林行動プログラムにおいても、違法伐採が進むことで森林の減少や劣化を招き、森林生態系の破壊など、大きな環境問題を引き起こす原因になるだけでなく、国および地方政府、地域社会から重要な収入と便益を奪うとともに、違法伐採された木材が流通することで、木材市場価格が引き下げられ、本来の持続可能な森林経営を圧迫することにもつながると危惧されています。
インドネシアにおいては、本来保護されるべき国立公園などでも違法伐採による森林破壊が多数報告され、スマトラゾウやスマトラトラなど地域固有の貴重な野生生物たちが生息地を失い、絶滅の危機にさらされています。また、実際に違法伐採を行っている人々の中には、その場所が保護区であるということを認識していないケースもあり、認識していても他に生活の糧を得る術がなく、やむを得ず違法行為を行っている場合も多い状況だそうです。ひと言で「違法伐採」といってしまうと簡単ですが、その背景には地域社会の教育問題や貧困問題など、様々な社会的要因もはらんでおり、非常に難しい課題であると言えます。
アスクルでは、事業開始当初からコピー用紙をはじめ数多くの紙製品を販売してきました。今では、国内のコピー用紙需要の大きな割合をカバーさせていただいています。 普段、なに気なくお使いいただいているコピー用紙ですが、その紙がどこで作られ、どのような原材料が使われているのか…そんなことを想像されたことはありますか? 実はアスクルのコピー用紙は、国内はもとより、海外の製紙メーカーにも製造を委託しており、その海外生産品の多くがインドネシアで作られています。
当社がこのコピー用紙の原材料に目を向け始めたのは、2002年に環境NGOから、インドネシアにおける熱帯雨林の状況についてご説明いただいたことがきっかけでした。この中でインドネシアにおける“違法伐採の実態”や“コピー用紙との関係”を知り、その後、“紙製品の責任ある調達”に向けた様々な取り組みをスタートさせました。今回の“1 box for 2 trees project”は、これまでの取り組みと経験をベースに、さらに一歩踏み込んだ持続可能な原材料調達を進めるため、アスクルがインドネシアの現地製紙メーカーとともに進める新しい試みです。
※アスクルの紙製品に対する取り組みは、“コピー用紙を安心してお使いいただくために”をご確認ください。